こんにちはnaoです。
健康診断で血圧が引っかかって再検査になったなど言う人もいるのではないのでしょうか。
高血圧の以下の疑問についてまとめてみました。
- 高血圧は何が問題なの
- 高血圧はどこから高血圧なの
- 病院だけ高いけど異常なの
- 薬以外の治療方法はないの
血圧の問題点
高血圧になっても軽度であれば自覚症状はありません。
血圧180mmHg以上になると脳血流に異常をきたし、
頭痛などの症状がでる場合があり、このときはすぐに受診が必要です。
高血圧が長期的に生じることで動脈硬化の進行が問題になります。
動脈硬化とは動脈が硬くなることです。
動脈は体全身にありますが、脳動脈や心臓を栄養している冠動脈などが動脈硬化になると閉塞しやすくなり
脳梗塞や心筋梗塞が起こるリスクが高くなります。
脳梗塞は脳の血管が詰まってしまう病気で、
軽症でも手足に麻痺を生じたり、重症になると寝たきりになったり、最悪死にたることもあります。
心筋梗塞は早期治療すれば助かることが多いですが、突然死に至る可能性もある病気です。
また腎臓病の進行にも血圧は寄与しており、
高血圧を放置することで腎萎縮が進行し将来的に透析が必要になる場合もあります。
(腎臓病の進行については、尿検査が有効で以前記事を書いていますので下記をご参照ください。)
そのため、健康診断で高血圧がある場合は、
将来を健康に過ごすために早期に治療介入が重要になります。
いくつからが異常なの?
血圧は収縮期血圧/拡張期血圧で表され、
- 家庭血圧は125/75mmHg以上
- 病院での血圧は130/80mmHg以上
が高血圧とされます(高血圧治療ガイドライン2019 日本高血圧学会)。
病院では緊張などで家庭より高くでるとされ、5mmHg高く設定されています。
血圧の測定仕方
静かで適当な室温の環境で、椅子に座って数分安静にしてから測定します。
朝と夜の2回測定が望ましいです。
毎回数回測定し平均値をとるのが望ましいです。
手首の血圧計は腕の高さによって数値が変動するので、必ず心臓の高さにして測定します。
腕の血圧計は強く締めすぎず、指が2本程入る程度にして巻いてください。
最近の血圧計はスマホと連携して血圧を記録してデータをアプリで管理できるものもあるようです。
お値段はそれなりですが…
血圧が高くなる原因は?
腎臓疾患やホルモン異常、心臓疾患などが原因でおこる二次性高血圧と、
原因がはっきりしない本態性高血圧に分類されます。
二次性高血圧の場合はホルモンを抑える治療など治療が必要な場合があり受診が必要となります。
一方本態性高血圧は高血圧の90%程と言われ、食生活、ストレス、過労、肥満、遺伝などが考えられています。
病院だけ血圧高いけど?
医療機関で白衣を着た医師や看護師をみて緊張することにより
病院で測定する血圧だけ高くなってしまうことを白衣高血圧と言われます。
この時、自宅での血圧が正常値であれば通常治療適応はありません。
しかし、一部の白衣高血圧の人は持続性高血圧に移行する可能性があり、
定期的な血圧を測定を継続することが重要であるとされます1)。
薬以外の治療は?
二次性高血圧の場合は、薬物治療が望ましい場合があるので医師との相談が必要です。
一方、本態性高血圧は生活習慣の改善が重要になってきます。
高血圧の薬を使わない治療法を下記にまとめます。
①減塩
ナトリウム摂取量が増えると血圧は上昇し、ナトリウム摂取量が減少すると血圧は低下すると報告されています2)。
通常ナトリウム摂取は塩分摂取に置き換えることができます。
塩分摂取1日6g未満を目標に減塩を行います。
日本人の塩分摂取量は10g程と言われており、
現状の食生活から塩分摂取を半分程減らす必要があります。
味噌汁やラーメン、そば、うどんの汁には塩分が高濃度で含まれているので、
なるべく汁は摂取しないようにしましょう。
コンビニやレストランなどの食品には成分表示がされるようになりましたが、
どれだけ塩分が入っているかを計算することができます。
食塩相当量で記載されていればそれが塩分量になります。
自宅では塩分測定計で測定することも有用です。
②減量
食事療法、運動療法で体重を減量します。
BMIが上昇すればするほど高血圧の有病率が高くなることが報告されています3)。
また体重減量に応じて、血圧が下がることも示されています4)。
BMI22を目指し食事療法、運動療法で減量をすることで血圧正常化を目指します。
③運動
運動量が増えると高血圧の発症率が下がり、死亡率が低くなるという報告があります5)6)。
健康な成人の場合、有酸素運動の目標量としては、
- 中等度の運動を1日あたり30分、週5日以上
- 高強度の運動を1日あたり30分、週3日以上
が推奨されます。
中等度の運動量とは少し息があがるものの会話ができる程度で、
早歩き、筋トレ、水中ウォーキング、軽いラケットスポーツが挙げられます。
中等度は脈拍100-120/min程度とされており運動中の脈拍測定も有効です。
脈拍測定対応の時計を利用するとよいです。
また高強度の運動量とは息が上がり会話ができない程度で、
ジョギング、水泳、クロスカントリーが挙げられます。
④節酒
過剰なアルコール摂取と高血圧の関連が報告されており、
適度なアルコール摂取は血圧低下作用があることが示されています7)。
この報告では、適度とは14~28g、過度とは30g以上とされています。
アルコール20gは
- ビール(5%)500ml 1缶
- 日本酒(15%)1合
- ウィスキーダブル1杯60ml
- ワイングラス(12%)2杯
- チューハイ(7%)350ml 1缶
とされています。
④禁煙
喫煙により収縮期血圧は約20mmHg程上昇し喫煙をやめた後30分後には血圧が下がり、
喫煙を続けると血圧が上昇したままといった急性期の効果は報告されています8)。
一方喫煙により長期的に血圧に影響を与えるかは、今のところはっきりしていませんが、
喫煙が動脈硬化を増加させることは示されています。
電子タバコについてはデータが少なく不明な点が多いですが、
紙タバコを電子タバコに切り替えた場合、血圧が低下したと報告もあります9)。
参考文献
1)Hypertension. 2013;62(1):168. Epub 2013 May 28.
2)Cochrane Database Syst Rev. 2017;4:CD004022. Epub 2017 Apr 9.
3)N Engl J Med. 1999 Aug 5;341(6):427-34.
4)Ann Intern Med. 2001 Jan 2;134(1):1-11.
5)Int J Behav Nutr Phys Act. 2010;7:39. Epub 2010 May 11.
6)Lancet. 2011;378(9798):1244. Epub 2011 Aug 16.
7)Cochrane Database Syst Rev. 2020;7:CD012787. Epub 2020 Jul 1.
8)J Hypertens. 1992;10(5):495.
9)Int J Environ Res Public Health. 2016;13(11) Epub 2016 Nov 11.
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