【見逃し】医者が徹底的に解説するナイト・ドクター第三話【ネタバレあり】

救急車 ナイトドクター

医者が徹底的に解説するナイト・ドクター第三話【ネタバレあり】

 

 

ナイトドクター第二話の解説はこちらです

こんにちは、総合内科専門医のnaoです。
ナイトドクター第三話では、
桜庭先生(北村匠海)が逆境にも負けず、救急医を目指すそんな回でした。
この回で出てきた、

・心臓移植ってどんな手術?
・心臓移植したら薬を飲み続けないといけないの?
・輪状甲状靭帯切開って?

そんな疑問に

医者の立場から徹底的に解説して

行きたいと思います。



あらすじ

「朝倉美月(波瑠)が患者の斎藤篤男(赤ペン瀧川)に襲われた。桜庭瞬(北村匠海)は斎藤を突き飛ばすが、刃物で傷つけられる。幸い桜庭は軽症で、斎藤は成瀬暁人(田中圭)、深澤新(岸優太)に取り押さえられた。

事件は『あさひ海浜病院』などを束ねる『柏桜会』会長で、桜庭の母親、麗子(真矢ミキ)も知るところとなった。救命救急センターに現れた麗子は、息子の身を案じて桜庭にイギリス留学を言い渡す。救急医の初歩的な処置も満足に出来ないのでは、その方が良いと合意する本郷に桜庭はショックを隠せない。美月にそれでも良いのかと促された桜庭は本郷に継続を頼むが、足手まといになるような者は必要ないと再び突き放されてしまう。さらに、主治医、宮本守(東根作寿英)の診察を受けた桜庭は、一週間ほど休みが取れないかと問われる。今休んだら救命から追い出されると桜庭は意気消沈。そんな桜庭に美月は暴漢から救ってくれたことを感謝して救急医療の参考書を渡し、応援していると励ます。
そんな時、急患が運び込まれ、美月たちの処置もむなしく亡くなってしまった。無保険なので早期治療を受けられなかったのだろうと推測する成瀬。本郷も医療だけでは救えない命もあると言う。桜庭は患者の生まれながらの恵まれない境遇を思った。そして、桜庭は美月たちになぜ自分が救急医を目指すことにしたのかを話す。次の日、救命センターに出勤した桜庭は、次週の勤務シフト表から自分の名前が消えていることに気づく。麗子の指示だと言う本郷は、桜庭に転科届けを渡した。」
引用<https://www.fujitv.co.jp/NightDoctor/story/story03.html>

 

・医者が解説

この回では桜庭先生が心臓移植を受けていたことが明らかになりました。
今まで薬を服用しているシーンが何度も出ていましたが、
心臓移植後に必要な薬など術後に注意しなければいけないことも多々あるので解説していきます。

・心臓移植とは

心臓はポンプ機能を果たしており、
肺で酸素を取り込まれた血液を全身に送っていく重要な臓器です。
心臓病が進み、このポンプ機能が低下すると
血液が全身に送れない状態、心不全になります。

心筋症や虚血性心疾患、先天性の心臓病など、
外科的な手術が困難な場合に心臓移植が検討されます。

欧米では年間3500~4000例ほどの心臓移植が行われますが、
日本では56件(2017年)と非常に少ないが現状です(日本移植学会 2018 臓器移植ファクトブック)。

腎臓などの複数ある臓器の場合は移植は生体腎移植といって、
生きている親族から提供を受けることができますが、
心臓の場合は一つしかないため脳死した人からの提供に限られます

脳死者がいつでるかはわからないため、
移植が必要でも、提供者が現れるまで待機する必要があり、
その間に補助人工心臓などの機械のサポートが必要になります。

・心臓移植後の注意点

移植した心臓が体に入ると
異物を排除しようと体の中では免疫反応が起きて心臓を排除しようとし、
これを拒絶反応と言います

拒絶反応が起きると
移植した心臓の機能が低下し、心不全に至る可能性があります。
拒絶反応を防ぐために免疫抑制剤の服用が必ず必要になります。
桜庭先生の内服薬として

・シクロスポリン
・プレドニゾロン
・アザチオプリン

が作中でも描かれていいます。

これらの薬剤の副作用として最も重要なものが感染症です
名前の通り、免疫抑制剤なので
心臓に対する免疫を弱くすると同時に
体を守る免疫機能も低下している状況になります。
そのため、普段はかからないような感染にかかったり、
ちょっとした感染でも重症化しやすいことがあげられます。

そのため、母親(桜庭会長)から感染しやすい災害現場や外に出ないように注意されていたのはそのためです。

・心臓移植をすると冠動脈病変が出現する?

また、この回では移植した心臓の冠動脈狭窄があり、その治療を進められていたシーンもありました。
冠動脈とは、心臓の周りにある、心臓に血液を送っている血管です。
心臓も臓器なので、酸素の含まれた血液がないと動くことができなくなります。
この冠動脈が細くなると狭心症、完全に詰まると心筋梗塞といった命に関わる病気になります。
心臓移植の場合は、拒絶反応の一つとして、移植心冠動脈病変と言われ
心臓移植の1年生存率約80%、5年生存率70%と良好ですが、
その後徐々に右下がりになり、

その一つの原因がこの移植心冠動脈病変が挙げられます。

薬剤による進行抑制が重要で、
心筋梗塞や狭心症で実施されるような経皮的冠動脈インターベンション(PCI)や冠動脈バイパス術(CABG)の血行再建は、抹消の冠動脈まで病変が及ぶため標準治療にはなっていません。
作中では治療し退院したとのエピソードが最後に描かれており、
おそらくPCIかCABGの治療がされたと推測されます。

・輪状甲状靭帯切開とは

また、桜庭先生が初めて急変対応として
輪状甲状靭帯切開をした場面も描かれていました。
呼吸不全患者に対して、気道(空気の通り道)確保が重要になりますが、
異物誤飲や喉頭浮腫などによる気道閉塞(喉の奥が詰まっている)状態では、
口から管を入れることができなくなります。
そのときに、喉からメスを入れて気道を確保する方法の一つです。
やり方としては、

①メスを入れて、
②ペアンで剥離し、
③ペアンを広げながら気管チューブを挿入する

といった手順です。
研修病院が救急病院であったので、実際にやったことがありますが
手技としてはそこまで難易度は高い手技ではありません。

輪状甲状靭帯切開ができない場合は、輪状甲状靭帯穿刺といって
点滴の針を喉に指して、そこから酸素投与するといった応急処置的な対応もあるので、
躊躇するぐらいなら、輪状甲状靭帯穿刺で場をつないでいたら良かったかもしれません。

まとめ

朝倉先生が変質者に襲われ、それをかばった心臓移植後の桜庭先生が負傷してしまう。
桜庭会長がその事実を知って、桜庭先生を救急からやめるように進言する。
桜庭先生の移植した心臓は胸痛症状が頻回にでるほど、移植心冠動脈病変で治療が必要な状態であったが、
救急医をやめさせられるかもしれないと不安に思い桜庭先生は体にムチを打って勤務を続ける。
患者が急変し、勉強した輪状甲状靭帯切開をして患者を救命する。
桜庭会長を説得し、救急医継続を認めてもらうも条件が出され、
それは心臓移植の重要な合併症である感染症のリスクを避けることだった。

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