【見逃し】医者が徹底的に解説するナイト・ドクター第一話【ネタバレあり】
第二話の解説はこちら
ナイト・ドクター第一話は、
深澤先生(岸優太)が一旦は救急医の道を諦めかけるも
立ち直って再度救急医を目指して奮起する回でした。
・レベル1
・クラッシュ症候群
・PCPS
・グルコン酸カルシウム
・SMA血栓
など、
医療用語がたくさん出てくる本ドラマです。
それぞれわかりやすく解説を加えていきたいと思います。
あらすじ
まずはあらすじから
『病院スタッフの働き方改革を目指す柏桜会グループが『あさひ海浜病院』に夜間勤務専門の救命医チーム“ナイト・ドクター”を立ち上げることになった。
医師の朝倉美月(波瑠)は新たな就職先にナイト・ドクターを選ぶ。
ナイト・ドクターのスタート初日、スタッフステーションには美月のほかに、深澤新(岸優太)、成瀬暁人(田中圭)、桜庭瞬(北村匠海)、高岡幸保(岡崎紗絵)という5人の医師が集まる。
美月を見た深澤は驚く。
数日前、街で倒れたホームレスの診療に手間取った深澤に代わって、鮮やかに処置したのが美月だった。
しかも、美月は深澤に「処置出来ないなら医者を名乗るな」と、言い放っていたのだ。
5人の指導医は本郷亨(沢村一樹)。
本郷は自分の指導について来られる者だけついてこいと厳しい。
そこに、ホットラインが鳴る。
工事現場の崩落事故で3名の重症者が出たのだ。
全員の受け入れを許可する本郷に美月はほっとする。
運び込まれた重症患者に、救命の現場を知らない深澤と桜庭は戸惑うばかり。
本郷に応じるのは救命経験のある成瀬。
美月と幸保は食らいついて行く。
重傷者たちの処置を始めた矢先、崩落現場で新たな重症者が発見されたと連絡が。
すでに7件の病院に搬送を拒否されているという。
使えない医師ばかりでは無理だと断ろうとする成瀬を本郷が制して受け入れを命令。
本郷は先に運ばれた3名を早く安定させれば済む話だと無愛想に言い切る。
しかし、新たに搬送された患者の足は重度の損傷を受けてクラッシュ症候群を起こしていた。
本郷は美月に切断を指示するが・・・。』
引用<https://www.fujitv.co.jp/NightDoctor/story/story01.html>
・医療用語解説
この回で出てきた医療用語をそれぞれ解説していきます。
・レベル1
図.レベル1
(引用:https://www.smiths-medical.com/ja-jp/products/temperature-management/blood-and-fluid-warming-systems/fast-flow-fluid-warming-trauma/level-1-h1025-fast-flow-fluid-warmer)
レベル1とは血圧低下が著しい時などに
短時間で大量の輸液や輸血が必要なときに使用する器具です。
1分間に500ml程投与可能です。
体重60kgの人の血液量は5L程ですので
10分で全部の血液量と同等の量を補充できると考えると
ものすごく早く投与できるのがわかると思います。
・FFP
図.FFP(新鮮凍結血漿)
(引用:https://www.jrc.or.jp/mr/blood_product/about/plasma/)
新鮮凍結血漿という輸血製剤の一つです。
出血などでフィブリノゲンという血を固める血液成分が不足すると
出血の改善が乏しくなるために輸血で補充します。
通常このFFPは冷凍されているため
使用する前に解凍しなければいけません。
高岡先生(岡崎紗絵)が、
「お湯もってきて」と言っているのは
FFPを溶かすのに使うからです。
・血胸
出血などにより胸に血がたまり、肺が縮んでしまう病態です。
肺を広げるためにドレナージといって管を指す処置が必要な場合があります。
そのため朝倉先生(波瑠)は、チェストドレーンを提案しています。
しかし、出血自体を緊急で止める必要があると成瀬先生(田中圭)が判断し、
胸を開いて(開胸)大動脈を遮断する(クランプ)することで出血を止めることを提案しています。
肺がある胸腔(胸の空間)は通常陰圧になっており、そのため肺が膨らんでいます。
開胸すると胸腔が空気圧になることで陰圧が解除され肺がしぼんでしまうので、
その前に挿管(口に管を入れる)処置を選択しています。
・クラッシュ症候群
引用(https://www.naika.or.jp/saigai/kumamoto/atsuza/)
重いものに挟まれると筋肉の圧迫により血管が遮断され、
長時間続くと筋肉が壊れます
その結果、筋肉の細胞に含まれる成分(カリウム、クレアチンキナーゼ、ミオグロビン)が外に出されます。
助け出されて血流が再開することで、壊れた筋肉から漏れ出た成分が一気に血流に回って
高カリウム血症によって致死性不整脈が引き起きたり
腎臓の尿細管に障害をきたして急性腎不全を呈したりします。
この高カリウム血症による致死性不整脈を防ぐ目的で
朝倉先生(波瑠)はグルコン酸カルシウムを投与しています。
また、患部がはれてコンパートメント症候群(腫れた筋肉が周りの組織を圧迫している状態)を起こしている場合や
壊死している場合は、状況によっては医師の判断により、患部の切断を行うこともあります。
・パルスレスVT、VF
パルスレスVT(心室頻拍)、VF(心室細動)ともに心肺停止を引き起こす致死性不整脈の一つです。
パルスレスは脈が触れないという意味で、
パルスレスVT、VFの治療は
心臓マッサージを実施し電気ショックや薬物治療を実施します。
一度止まった心臓の拍動が戻ったとしても、
長時間がたった状況だと
その間に脳の血流が不足した状態がつづいており
脳死にいたる可能性がそれだけ高くなります。
そのため、本郷先生(沢村一樹)は、
「脳死じゃなきゃいいな」といったのはそのためです。
・PCPS
PCPSとは経皮的心肺補助装置といいます。
足の太い動脈と静脈にそれぞれ太いシースという点滴の太い管をとり
人工肺で酸素を加えて体内に血液を戻して
心臓の機能が低下した患者の体循環をサポートする機械です。
・死亡確認
医師は患者が死亡した際は、死亡確認をします。
死因が内科的な病気によるものであることが明らかな場合は、
死亡診断になりますが、
外傷などの外因死や死因が不明の場合は、
異常死体として24時間以内に警察に届けでる義務があります。
その後検死が行われ、必要があれば行政解剖という解剖で
死因の調査が行われる場合があります。
・トリアージ
多数の負傷者が発生した場合に用いられる重症度別の患者の分類方法です。
トリアージタッグという色つきの札で重症度別に分類され、
赤色:危機的で今すぐに治療が必要
黄色:処置に数時間の余裕がある
緑色:命の危険がなく外来で十分
黒色:死亡または救命の見込みない
の4色で分類します。
本ドラマでは、トリアージを行う医師と
赤色の患者さんを治療する医者と分けて対応にあたっていました。
・SMA血栓症、腸管虚血
図.腸管を栄養する動脈
(引用:https://home2ge.hiroshima-u.ac.jp/digestive/intest/intestine.php)
深澤先生(岸優太)の妹さんの腹痛の原因でした。
SMAとは上腸間膜動脈といい、
小腸のほとんどと右側の大腸に酸素や栄養を供給しています。
この上腸間膜動脈が血栓で突然詰まってしまうことをSMA血栓症と言います。
血栓が詰まることで、腸管への血流が遮断され
酸素や栄養が供給されないことで
腸管虚血になり、
時間が立つと腸管壊死(腐る)にいたります。
腸管虚血であれば血栓を除去することで改善が見込まれますが、
腸管壊死では血栓と除去しても改善しないため外科的に腸管切除が必要になります。
深澤先生の妹さんは病気を持っているとのことですが
詳細は明かされていません。
女性で若年で血栓ができやすい病気…全身性エリテマトーデスなどでしょうか
ひきつづき、第二話の解説はこちら
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